泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「で?
行くのは構わんが、一体何処に行くんだ?」
「「あ」」
しまったとでも言いたげに、
純恋と声がかぶる。
なんかオオゴトの時ほどこいつらとは
声がハモることが多い気がするんだが、
果たして気のせいかどうか。
「はぁー、全く。
とっとと地元の路地裏にでも行ってこい」
奈々は呆れ気味に赤髪をクシャクシャした。
路地裏?
そこは、ドラム缶や塀がある。俺達が純恋に出会う翌日まで、毎日のように使っていた溜まり場だ。
「今、そこにあづがいる。ただ、もうすぐ移動するだろうからなぁ……。
都会の裏通りで待ってれば確実に
会えるとは思うが」
奈々が腕を組んでうーんと
考え込む。
「「潤くん、純恋さん、 空我を、どうかお願いします」」
直後、空我の母親達がそう声を上げた。
聞き間違いではなかろうか。
息子を救えと、そういったのか?
「ハハ……」
思わず笑ってしまった。
空我、どうやらお前はものすごい勘違いを
しているらしいぞ。
お前は、愛されてなくなんかない!