泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。






「わかっているの。


 彼も私も、空我をたくさん。
いいえ、
数え切れないほど彼を傷つけてしまった。





 彼ときちんと会って話がしたい。もう本当の家族に戻るのは無理かもしれない。けれど、良い関係を築くことは無理ではないと思いたい。彼を、愛しているわ」





 そう言ったあづの母親は、ボロボロと涙を流していた。







「それ、俺が連れ戻したらすぐに言ってやってください。あづはそう言われるのを、
ずっと待ってたんすから……」







 あづの両親は頷き、仕事があるからと名残惜しそうに病室を出ていった。






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