泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「あぁ、頼む。それと桜桃、そうだな。今から15分以内に長谷川病院に来い」
いや、いくらなんでもそれはバイクでも
俺たちでない限り無理があるんじゃ……。
《え、15分ですか!》
案の定、桜桃はかなりビックリしている。
「あぁ。龍弥も同行でな」
《……わかりました。
虹欄はどうするんですか》
桜桃は恐らく、奈々の声のトーンが低い
だけにただことではないと思ったのだろう。
反論を一言も述べずに応じている。
「お前らが病院についた時点で、恵美を
アジトへ向かわせる。話は以上だ」
奈々は通話を切った。
そして、始まる。
虹欄の結束力が試される時だ。
——空我、お前は酷い誤解をしている。
虹欄の奴らは全員、あの日お前について行くと言った。それをお前は、まだ本気で信じられていないんだろう?
生憎だが、誰もお前についていかない気はない。
たとえあんたが、どんな出来損ないでもだ。
今度こそ、
お前のことは絶対にこの俺が救うから。