泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「潤さんっ!!!!」
夕焼けが顔を出し始めてしまったその時、ドンッと効果音がする勢いで桜桃の身体を後ろに押して、俺は走り出した。
片目から涙がこぼれおちた。
——ごめん、桜桃。
これは、俺のただのワガママなんだ。
あいつを救いたいっていう、只の願望なんだ。
なぁ、あづ。
俺達、何年一緒にいた?
お前は俺を見て、毎日笑ってくれた?
全然、笑ってくれなかったよな。
いつも無愛想で、へそ曲がりで。
思いきり喧嘩をしたあの日、
俺はお前に負けたよな。
正直、お前の身体が弱った今でも
負けると思うよ。
だって、お前相手に本気なんて
俺に出せる筈がないんだから。
それに、知ってるんだ。お前は本当に壊れたら、我を忘れるってこと。殺人鬼みたいに、怖いやつになってしまうってこと。