泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「あづ!あづっ!!」
やっとのことで追いついた俺は、真後ろから
両手であづの肩を力いっぱいに揺さぶった。
「いっ! …………あ、づ」
あづはそんな俺の片腕を掴んで、骨を砕くように渾身の力で握りしめた。
「や、やめろ……。
俺ら、親友なんじゃないのか」
あづの背中を睨んで、俺は声を絞り出した。
「あぁ、潤か……」
あづは首から上を振り向かせて、
無表情にいう。
「あぁ、そうだよ!あづ「ククっ、親友な。俺とお前が。あぁ、そうだな、俺もそう思ってたよ。けど、だったら教えろっ!!お前、少しでも俺のこと助けたかっ!!弱ってる時だけいっつも寄り添ってきやがって、肝心な時に限って、いつもそばにいやしねぇ!!
だから俺は、10年間話さなかったんだよ!!」
——届いてなかった。
俺の声は、我を失ったそいつにこれっぽっちも届いてはいやしなかった……。