泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「はぁ!?、逃げたぁ?
体調悪かったんじゃないわけ?」
めぐは俺に八つ当たりをするかのように声を上げた。
いやハハ、
体調が悪かったのは確か……なんだけどな。
部が悪くなった俺はついめぐから顔を逸らして、苦笑いをした。
「恵美、それ嘘だよ」
え、奈々絵?
何言っちやってんの?
奈々はクールに振る舞いながら、
めぐにとんでもないことを言った。
「う、嘘なわけないだろ?」
言葉とは裏腹に、俺の声は、それが嘘をついている証拠だとでも言わんばかりに震えていた。
俺は二人に、あづが泣き寝入りしたことを言わなかった。それは嘘というより、内緒にしたことではあるんだけど、俺がそうしたのは、あづが自分の口で何かを言うまで待ってた方がいい気がしたからだ。
奈々はこういう時やけに勘が鋭いから困る。
まぁ、そういう奴だから亜空のハッカーが勤まっているんだけど。
奈々には喧嘩の時はいつも助けられたが、今ばかりはハッカーにも生かされた勘の鋭さが鈍くなってくれと願わずにはいられない!
額に冷や汗が出て、それが俺の紫色の髪を軽く濡らした。
マズいマズいマズい!
サーっと、一気に顔が青ざめていく。