泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
涙で視界がぼやけて、
意識が遠のきそうになる。
“空我を、よろしくお願いします”
意識を失う直前、頭にあの人たちの顔が
よぎった。
俺はどうにか片腕を動かし、あづの手首を掴んで、
思いっきり握りしめた。
骨すら砕けるような死に物狂いで出した力で。
「いっ!」
あづは腕の力を緩め、さぞ懐かしい顔を
した。
あぁ、お前、
手当した時もそんな顔してたな。
悔しそうに、痛そうに、
顔しかめてたよな。
あの時、何も言わなかったけどさ……。
俺、泣き寝入りしてきてくれて、本当は
すげぇ嬉しかったんだぜ?
やっとお前が、頼ってくれるようになったと思ったから。
その日、決めたんだ。
俺はお前を絶対に救うって。
やっぱり、無理?
「な、なぁ、あづ。
俺は愛してんだよ、お前を…….」