泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「空我さん。
………遅くなって、すみません」
ザッとサンダルが出しそうな足跡が聞こえて、俺達の前に1つの影が現れる。
「純恋……?」
俺は、あづの腕から手を放した。
すると純恋は、あづの手を握って、
あづをおもむろに立ち上がらせた。
そして、あづの唇にキスを落とした。
「帰りましょう、空我さん」
頬を赤くして口をパクパクしたさぞかし照れ屋なあづを見ながら、純恋は笑ってそう言い放った。
ハハ、だよな。
俺には、今も昔も、バットエンドがお似合いだ……。
「潤さん、何いつまで呆けているんですか。
帰りますよ?」
今の今まで視界に真っ青な空が映っていたのに、いつの間にか、空の雲の間に、桜桃がいた。
「さく……ら……?」
俺はそいつに差し出された手を戸惑いながらも
そっと取って、立ち上がった。
「はい。貴方に2番目に愛してたって言われてキスされた桜桃ですけど?」
今それいうか!
「はぁ?潤お前最低じゃね。ないわー。桜桃より俺の方が好きとかありえねぇだろ」
あづは俺を下卑た目で見つめる。