泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。



「お帰り」




 病院についた途端、奈々はあづを見て、満足げに笑った。


「お前、こうなるの全部想定してたんだろ? ……専門医、どうせ俺の父親なの気づいてたんだろ?」





 あづは呆れ気味に言い、ハァーっとわざと
らしいほどに盛大なため息をついた。




「ん、あぁ。だって、お前に見た目ソックリだし。まさか、あづが自殺しようとするとは思わなかったけどな? それはさすがに予想外だった」



「じゃあ他はだいたい予想ついてたのかよっ!?」


 信じられなかったのか、空我は思わずは叫んだ。



 本当に病人の癖に、頭回りすぎだろ!!






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