泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
瞬く間ように季節は過ぎ、満開の桜が俺達
卒業生を歓迎した。
2年間、母親からの虐待が消えたからか。
3人で暮らし始めてから、学校は意外と
楽しかった。
そして、忘れかけていた記憶も、ココ最近でやっと、何もかも思い出せるようになった。
「空我ー、写真撮ろうぜ!!」
「えーずるい、うちも撮るもんね!」
クラスメイトのやり取りに、思わず笑みが零れた。
「ハハッ、お前ら順番な」
「はい、チーズ!」
耳に響くのは、携帯や一眼レフのシャッター音ともう随分とフサフサになってきた髪が、風で揺れ動く音。
俺は今日、高校卒業と同時に虹欄を抜ける。
次の総長は龍弥だ。
ちゃんと、引き継がせないとな。
あいつ、俺達に似てるとこあるから、総長
だって聞いたら嬉し泣きするかもな。