泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。






 瞬く間ように季節は過ぎ、満開の桜が俺達
卒業生を歓迎した。





 2年間、母親からの虐待が消えたからか。



 3人で暮らし始めてから、学校は意外と
楽しかった。



 そして、忘れかけていた記憶も、ココ最近でやっと、何もかも思い出せるようになった。








「空我ー、写真撮ろうぜ!!」





「えーずるい、うちも撮るもんね!」



 クラスメイトのやり取りに、思わず笑みが零れた。




「ハハッ、お前ら順番な」





「はい、チーズ!」



 耳に響くのは、携帯や一眼レフのシャッター音ともう随分とフサフサになってきた髪が、風で揺れ動く音。







 俺は今日、高校卒業と同時に虹欄を抜ける。






 次の総長は龍弥だ。






ちゃんと、引き継がせないとな。







 あいつ、俺達に似てるとこあるから、総長
だって聞いたら嬉し泣きするかもな。










< 273 / 284 >

この作品をシェア

pagetop