泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「あ?」
それは当然、純恋のことで。
近くで騒でいたクラスメイトに言われ、俺は走って、校門に向かった。
それにしても、なんで純恋が?
「空我さん」
校門前に行くと、そこにいる純恋は、目が合った俺に快活そうな笑顔を向けた。
「純恋」
今も変わらず、金色の胸あたりまで
伸びた髪。
やっぱり、誰よりも綺麗だ。
「空我さん、ご卒業おめでとうございます」
そういい、純恋は片手に持っていたモノを
俺に差し出してきた。
「え……」
まさかとは思うが、これが世にいう卒業祝いというものだったりするのだろうか。
水仙や青や黄色、それに紫色の薔薇が添えらた10本にも満たない小さな花束。
「おい!このリア充!!」
「爆発しろー!!」
同級生の声が、左から右に流れる。
「純恋、ありがとな……っ」
花束を持つ彼女の腕を引っ張り、抱きしめて優しくキスをした。
やっぱり愛してる。
世界中の誰よりもだ。
純恋の愛は、悩んでいた俺の心を溶かしてくれるかのようだった。