泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
居場所なんて、なかったから。
俺が目を覚ましてから既に一時間ほどが経過し、時刻は、午後の八時を回っていた。
この時間になるまでの間、
俺は2人に状況説明をし、一方、
めぐは俺と奈々に冷蔵庫にある残り物を
材料とした夜ご飯を振る舞ってくれた。
ご飯を食べ終わった後、ソファの前に置かれた正方形のテーブルの近くに適当に座り、俺達は話を始めた。
内容はもちろん、あづの居場所についてだ。
「じゃあ何?
あづは体調悪い癖にここから逃げたわけ?」
俺の左隣に座っていためぐは、話を始めるや否、頬杖をついて、ありえないとでも言いたげに言った。
「うん、まぁ…」
俺はめぐがこっちをガン見して聞いてきたので
つい反射的に目を逸らしてしまった。
まぁ十中八九寝てて止めなかった俺のせいなんだよな……。
「馬鹿だわ。
いや寝てた潤も馬鹿っちゃ馬鹿だけど、体調悪いのに逃げたあづはもっと馬鹿よ」
めぐは頬杖をついた状態のまま、俺をフォローしてんだかしてないんだかよくわからない言葉を言った。
いや、多分これはフォローしてないんだろうな。
「あづが後先考えない奴なのって、別に今に始まったことじゃないだろ」