泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
そんなことをしたって不倫をしたのは変わらないんだから、意味ないのに。
母親は俺が小学生になって間もない頃に、
虐待を始めた。
最初は物を投げられる程度で済んだ。でも徐々にエスカレートして、小五の頃にはトイレの外側にバリケードを作って俺をそこから出られなくさせたり、あるいは家から追い出され、夜中に父親が帰ってくる直前まで、一切家に入れさせて貰えないこともあった。
もちろん、トイレや外にいた時に食事なんて、一切与えられなかった。
おかげで何度死にそうになったかわからない。……だって、母親はそれをわざと、父親が1週間ほど転勤していた時に毎回毎回行っていたんだから。
それも玄関やトイレのドア越しで、あんたなんか産まなきゃよかったと狂うように叫びながら。
たぶん、虐待を始めたばかりの頃は、母親もこんなことすべきじゃないって思ってたんだと思う。小学生の時とかは、殴られたり、蹴られたりして身体中ボロボロに成り果てた俺を見て、泣きながら謝ってくれたから。
でももう、そんなことは微塵もない。
母親は、いつの間にかただ俺に暴行を加えるだけの悪魔と化してしまった。
——産んだのは自分の癖に、本当に残酷にも程がある。