泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
母親は病院の中の107号室と書かれた病室の中に入っていった。
「早く来なさいよ」
先を促され、俺は慌てて中に入った。
どうやらこの病室に患者は元からいないらしい。
母親は俺が入るとすぐさま白衣のポケットから鍵を取り出し、病室の鍵をガチャっと閉めた。
「え、鍵……」
俺、まさか今度は病室に閉じ込められる?
「はぁー、話、万が一外に漏れてもいいの?」
「痛っ!!」
眉間に皺を寄せながら母親は俺の青い髪を引っ張り、耳元で囁いた。
閉じ込めないって伝えるのだけで、なんでこんなことされなきゃなんないんだよ……。
「さっさと話して。
私明日はオペがあるから朝早いのよ」
母親は病室のドアにもたれかかり、言った。
ハハ、実の息子の話よりオペが大事ってことかよ……。
マジで俺って愛されてねぇのな。
体中に出来てる無数の虐待の跡を見ながら、俺は思った。