泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「てめぇ、
勝手に死のうとしてんじゃねぇよ」
窓から引き上げられた俺が一番最初に聞いたのは、奈々のわかりやすすぎるほどに怒りを顕わにした声だった。
「………悪かったよ、奈々」
気まずくて、俺はつい奈々から顔を逸らして、小声で謝った。
「悪かったよじゃねぇよ!!!
俺がどんだけ心配して、どんだけ必死でてめぇのこと探したと思ってんだよ……っ!!」
そう言った奈々は、ボロボロと涙を流していた。
奈々は俺の体にギュッとすがり付いて、静かに泣いた。
奈々の爪がYシャツにくい込む。奈々の涙で、肌が濡れた。
ビックリした。
まさか奈々がこんな風に泣いてすがりついて来るなんて、思いもしなかった。
俺は、こんなに大切にされてたのか……。
つくづく俺は馬鹿だと思う。情けない。
「奈々はあんたのこと探し始めてから、
1分で居場所見つけたんだからね?」