泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
倒れていたそいつは、俺達とそう変わらない歳頃の男だった。
地面に打ち付けられた顔から滝のように流れるのは、どす黒い血。
ボロっボロに切れた学生服から除く擦り傷だらけの身体。
その体は、全身が打撲を起こしていた。
「おい!しっかりしろ!!」
俺はそいつの体を揺さぶり、必死で叫んだ。
「う……」
喉からうめき声が絞り上げられると同時に、そいつの腕が、かすかに動く。
思わずほっとするも、俺はそいつの足を見て、また声を上げそうになった。ビルの周りに散らばっていた尖った瓦礫に、深々と両足が突き刺さっている。それが俺達3人の周りに、血の海を作り出していた。
——助からない。こんな状態で、助かるわけがない。何度もそう思った。
「死ぬな!!」
それでも、潤が救急車を呼んでくれている間、俺はそいつに必死で声をかけた。