泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「ちげーよ。
俺は何も……」
小さな声で、俺は言った。
——違う。
頑張ったのは、奈々自身だ。
「あづ、生きろ。つーか、俺がお前を生かしてやっから、
覚悟しとけ?
あの女も、ちゃんと守ってやれ」
俯いた俺に、奈々は食い気味にそう言葉を返してきた。
奈々……。
奈々の励ましの声が、俺の心をほんの少し軽くさせた。
虐待されてる俺が、あの子を守れるのか?
それでも、守りたい。
いや、きっと守ってみせる。
奈々が変わったみたいに、俺はまだみんなにちゃんと虐待のことを話せないけど。それでも、少しずつみんなに心を許していけるようになりたいから。
そのためにも、俺はちゃんと純恋を守れるようになってみせるんだ……。