泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「何って、学校の名前。
あ、でも、あづの学校は、花の名前ついてないんだっけ?」
……ついてたっけ?
「……そんなん忘れた」
本気で忘れた。
「あんた、仮にも自分の学校のことくらい知っときなさいよ……。病院にいた奈々はしょうがないとしてさ」
めぐは、俺に呆れたかのように片手で頭を抱えた。
「あづはやっぱ、
学校にも禄な思い出はねぇか 」
「んーまぁ」
潤が俺の頭を乱暴に撫でた。
「いーい、簡単に説明するわよ?基本、お嬢様やアイドルが通うようなエスカレーター式で一年分の学費が五百万以上もかかるような学校は、語尾に花の名前がついてるわけ。
日本一金持ちの男女共学校。それが、御簾花葵学園よ。花葵は、ラバテラって花の略ね。花言葉は承諾で、あの学校は全てを受け入れるってのが心意気なんだと思うわ。
学費は1年につき、高等部は少なくとも一千万以上はかかるんじゃないかしら。純恋の通う中等部はちょうど一千、あるいは九百って所ね。
そしてあたしが通う愛里寿薔薇は、
日本の中で3番目に学費が高い所よ。
確か高等部は、一年につき七百から八百万だったかしらね」
「「はああああ!?!?」」
桁違いの学費に驚いて喫茶店に俺と奈々の驚愕の悲鳴が響いたのは、もはや言うまでもない。