泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。




「そっか。
生きる価値がない…か」



 潤は俺の頭を撫でて、考え込むように言葉を繰り返した。



「うん…」


 きっとめぐや奈々にこんなこと言ったら、そっかでは済まされないのだろう。



 潤はこういう時、あからさまに騒がずに話を聞いてくれるからいい。


 長年一緒にいるからか、俺が今何を思ってて、どうして欲しいのかとかをよく分かってくれるんだ。


「散歩するか?」



 急な提案に驚いて、俺は思わず潤を見上げる。


「あいつらにはまだ聞かれたくない話、
なんだろ?」



 ほんの少しニヤついた顔で潤はいう。俺が無言で頷くと、潤は、より一層顔を緩ませて笑った。



 それから、俺達は静かに家を出て、行く宛もなく歩いた。


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