泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「……そうか。
どーせお前、この前母親に辛いこと言われたんだろ?」
潤が言ったこの前ってのが2週間前の話なのは、言われなくても分かった。
「……俺は道具なんだって。俺は父親と母さんを繋げるための道具で、俺自体には生きる価値もなんもなっ……」
母親に言われたことも言いきれず、俺は泣いた。
産んだ人に生きる価値がないって言われたら、どうやって生きていけばいいんだろう。
産んだ人に存在否定されて、どうやって楽しく生きていけばいいんだろう。
「もういいから。もう何も言わなくていいから、泣けよ。どうせここには俺とお前以外誰もいない。だから、泣きたいなら思う存分泣け」
潤は立ち上がると、ブランコに座っている俺を前からギュッと抱き寄せて囁く。
「うっ………」
ボロボロと、涙が滝のように溢れ出した。
何でこんなことになったんだろう。
この世は理不尽極まりなくてしょうがない。
潤の部屋着に、俺の爪がくい込んだ。
「なぁ、あづ。……ありがとな、俺に一番に話してくれて」