泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。



 

 何で溜まったもんじゃないのか、俺にはよくわからなかった。



「やっぱ悔しいじゃん? 学校は違っても俺が一番空我と一緒にいんのにさ、あいつらに先越されんのは」




 頬をリンゴみたいに真っ赤に紅らめて、潤は笑う。



「純恋はまだしも、奈々はお前が様子おかしいのとかすぐ気づくし?」




 冗談を言うように、軽く潤は言った。



「俺、……誰かにそうやって比べられるほど価値ねぇよ」




 顔を俯かせ、消え入りそうな声で俺は言う。




 実の母親に認められるどころか道具扱いされているこの俺に、そうやって比べられる価値なんて、何処にもない。



「そういうのはお前が決めることじゃなくて、俺達が決めることなんだよバーカ!!」




抱きしめる力をぎゅっと強めて、潤は俺を励ますように、元気よく言い放った。



「うー、うっ、う……っ」



それだけで、もうダメだった。



 止まりかけていた涙が、また滝のように零れ落ちる。


 潤は泣き止むまで、俺の背中を何も言わずに撫で続けてくれた。



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