泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「……帰るか」
泣き止んだ俺はブランコから勢いよく立ち上がり、
純恋に近づいて言った。
直後、ブランコがガタガタと揺れて、生まれて初めて聞いたその音に、俺は少しだけビックリした。
こんな音がするなんて、知らなかった。
純恋を見ると、彼女の金髪は2週間前の夜と同じように月に照らされ、淡く輝いていた。今日は満月ではなく、三日月だけど。
「あづさんなんか目赤くないですか? ——あ!もしかして、また泣いたんですか?」
——バレた。
どうやら純恋も、俺が純恋をよく見てたのと同じように、俺のことを見ていたみたいだ。
純恋はつま先立ちをするように背伸びをして、俺の頬に片手を優しく当てながらいう。
その純恋の表情は……正しく心配そのもの。
「な、泣いてねぇしっ!!」
俺はつい恥ずかしくなって、純恋の腕を掴み、彼女の手を無理矢理自分の頬から遠ざけた。
はは、ヤラカシ。吃った上にこんなことしたら、絶対図星なのバレる。
でもあんなの……女子に免疫のない俺には、慣れなすぎる。