友 ~雲外に蒼天あり~
その夜


僕は、土方さんに呼び出された



「警戒だけはしろ
簡単に後ろに立たせるな」


「はい」


「それから…
個人的な感情で動くな」


「僕が私情を挟みましたか?」


「今後ないようにだ」


「土方さんは、僕も疑うんですね」


「疑うわけじゃねぇ
お前くらいの歳だと、物の見方が狭い
友だから裏切らないなんてことはない
組の内情など漏らすなよ」


「結局!疑ってるんですね!」


「そうじゃない!」


「僕は、裏切ったりしない!」


「わかったもういい」



土方さんは、僕との口論をやめた


僕が頑固だということを知ってる


僕だって頭の中じゃわかってるんです
出会って間もなく友になり
名前以外の素性がさっぱりなんだから

だけど…

僕は、違う


倖が言った裏切る人とも、捨てる人とも


僕は、違うんだって思ってくれた

倖の気持ちに答えたい


僕は、倖の特別なんだ


敵じゃない!!


倖は、敵なんかじゃない!!













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