友 ~雲外に蒼天あり~
屯所に戻ると僕は、自室にへたり込んだ

倖は、一体何者なんだろう




近藤さんを置いて帰ってしまった




「総司 いいかい?」


「どうぞ」


「先ほど倖とお別れしたよ」


ずいぶん長く話してたんだ……



「総司が走って行ってしまった後
『総司は、強そうだ
返り討ちに合うかもな』
と、言っていたよ!
私には、総司に嫌われるように
斬ってもらいたいという願いに似たものを
感じたんだ」


「……」


「あの子は、昔の総司以上に辛い状況にいる
一度しか、目が合わなかった
それに… 総司の事以外に自分の意思を
持っていない
自分から、何かをしたいと思ったのは
本当に初めてなんだろうね
その気持ちに、思考が追いつかない
自分の行動が冷静に判断できず
とても不安なんだろうね」



「僕… 傷つけちゃったかな…」



「明日、また来ると言ってたよ」



「本当ですか!! 謝らなきゃ!」







翌日








「昨日は、ごめんなさい」


「何の事だ?」


「話聞かないで、走って帰ったから」


「勇が聞いてくれたぞ」



勇… 


「僕だって近藤さんって、呼んでるんだよ」

「???なら、沖田と呼べばいいのか?」

「何でそうなるの???」

「勇が総司の友は、私の友だから
総司と同じように接したら良いって…」

それで、名前呼び?

もう…

「いいよ!僕だけ特別がよかったのに!」

「???特別なのは、総司だけだぞ」

「ありがとう」



< 15 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop