友 ~雲外に蒼天あり~
ピッピーーーーーッ



倖が笛を吹いた



「気になるだろうから言っておく
新選組の調査を依頼した人物は
お前らの上 敵ではない」

「ペラペラ喋っていいのか?」

「総司と友だから、調査依頼された
隠す必要などない
それに、この依頼からおりる」

「おりる?」

「あぁ 私のせいで
お前と勇が仲違いしたんだろ?
総司にも嫌な思いをさせたな」

「僕は、嫌だなんて思いません!」

「姫さん戻るぞ!」

「ん」


倖が僕の前に立った

懐に手を入れると

土方さんは、チャキッ 抜刀した


刀を向けられても、倖は躊躇せず

僕の手をとり


竹とんぼを置いた



「お前は、その竹とんぼを受け取った
もう、私達は友ではない」


クルリと土方さんの方を向くと


「勇と仲良くな」


倖が、屋根上へ



「僕は、友だと想い続けます!!」



倖は、振り向かずに行ってしまった





僕は、暇さえあれば壬生寺へ行った






倖が来てくれると信じて…



団子屋は、あの日だけの店だったようで
僕は、ここで待つしかなくなったんだ…












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