友 ~雲外に蒼天あり~
それから3日後





倖が主のところに戻ることになった

急に来た佐吉さんが、連れて帰ると
言い出したからだ



「いいの!?本当に!?」



凄く嬉しそうな倖に

僕は、複雑な気持ち



「おいで」


近藤さんが手を広げた



「私、泣いてない」

「私が泣きそうなんだ!」


倖は、近藤さんにぎゅっと抱きつくと


「悲しいことでもあったの?
近藤さんは、いつも楽しそうなのに」

「娘が嫁がせる親の気持ちだよ」

「近藤さんは、私の親じゃない」

「はっはっはっ!そうだね!」

「スエさんにご挨拶出来ないね」


そう、スエさんはこれまた急に
嫁に行くタミさんの世話人として
今日は、留守


「私から伝えておくよ」

「よろしくお願いします!」



佐吉さんは、腕を組み



「はぁー!姫さんがこんなに変わるとは!
姫さんの主も驚くな!こりゃ!」



と、満足しているようだった



僕は、懐から作りたての竹とんぼを出した

今朝、完成したばかり



「倖!僕達は、ずっと友だからね!」

「うん!ずっと友だよ!」



倖の笑顔を見たら

引き留める事なんて出来ないね



きっと



この日の為に、一生懸命に頑張ったから




「最初は、すごく居心地悪いと思ってたけど
ここにいると、楽しかった!
皆が、仲良くしてくれて嬉しかった!
お世話になりました!!!」







倖は、佐吉さんと屯所を出て行った



翌日


帰ってきたスエさんは喜んだ!

てっきりさみしがると思ってた



「そりゃあ嬉しいですよ!
タミに続いて、倖も嫁にいくんだから!」



!!!!!



「どういうことだ!?」


身を乗り出して興味を示したのは
土方さん


「あら?人並みになったら夫婦になるって
ことでここに預けられたんやろ?」


「そうだったのか…」



その反応から

土方さんが倖に対して恋心を持っていたと
今、わかった


「幸せになるってことですね!」

「そうやね!」




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