友 ～雲外に蒼天あり～

綺麗な着物に化粧をして

宮部のところに行く





｢よし！行こう！｣


宮部に肩を抱かれ玄関まで歩く



暗くなった夜道を提灯をもち

池田屋へ






池田屋の前に到着すると

宮部は、まわりをキョロキョロ


それから私の手をとり両手で包む


｢何してるの？｣



｢俺と夫婦になってくれ｣




主が私に言った言葉と同じ言葉だった




｢お前が私と夫婦になると言ってくれるなら
今夜の会合で皆に承認を得る
皆が、反対したらその時は、私の故郷で
待っていてくれないか
道中は、心配するな友に護衛をさせる｣


たしか主も言ってた
私を側室にする承認を得る
それで反対されて…
人並みになれば…
まわりを納得させられれば…


｢サチ…｣



人は、裏切るものだ


この男は、私を利用したいだけ
ならば…
私だって、利用してやろう



コクリと頷くと


｢んんっ！！！｣




口づけをされた





｢ははっ！　嬉しいよ！サチ！｣


そう言って、私を抱きしめた

私は、泣いてない


この人は、私を裏切ることを
悲しんでいるのかな？



｢私も｣



愛想笑いをした