友 ~雲外に蒼天あり~
次に目が覚めた時


私は、ここを出ようと決めた



「具合は、どうや?」



私は、ここにいてはいけない



「お粥さん食べ」



私は、いらない







「どこか痛むんか?」








私は、頬を伝う涙を拭い

愛想笑いをした



ずっと昔に泣いて以来、久しぶりだった




「ううん お粥いただきます!」





「ゆっくり食べ」





山崎さんが部屋を出た


お粥をお盆に戻し

布団を畳み


こっそり



屯所を出た












捨てられる前に


捨ててきたのだ


34番目の主と35番目の主


私の初めての友




皆を捨てた










「あの…ここで働かせて貰えませんか?」


「ええよ!人手不足や!きばりや!」


「はい」












そこは、山の旅籠

ここで人並みに生きよう


普通と呼ばれる人並みを















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