友 ~雲外に蒼天あり~
私の勤める旅籠に

逃げ延びた宮部が偶然にも現れた








「なぜ… 俺を逃がしてくれたんだ?」











答えることは出来なかった



だって、私自身その答えがわからない




宮部は、私を部屋に招き

いつものように抱いた



抵抗することも出来たけど

今更どうでもいいと思った



いつもと同じ「汚い体だな…」と言った



いつもと違ったのは、私



私は、人の表情を見るのが嫌い

なのに

宮部の表情を見てしまった


嫌な言葉だけど、宮部が傷をなぞる時
とても私を愛おしく想ってくれている

そんな表情だった



「もう少ししたら全部だったのに…」



「何が?」



「このキズ全部に触れたら
俺のものになる!って願掛け
信じてたんだぞ?俺の嫁になるって!」


「……」




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