友 ~雲外に蒼天あり~
僕は、失敗した






娘さんの事を
皆に話しておくべきだった











「総司 土方さんが拷問代われってよ」






土方さんは、僕が敵に容赦ないことを知っている

土方さんが無理なのに

僕で吐かせることができるのかな?




蔵に入り





僕は、目を見開いた


「コイツ顔は見せねぇし、何も吐かねぇ」


縄で縛られ、びしょぬれで

こちらを睨んでいたのは、娘さんだから


「なんてこと…」



僕は、抜刀し縄を斬った


「おい!総司!なにしてんだ!!」


「すみません!こんな痛々しい…」


巻き付いた縄を解いた



「手当てします!傷が遺ったら大変です!」



「総司!!!」


娘さんは、素早く僕の後ろに立ち
どこから出したのか

喉元に刃物が突きつけられた


逃げる為に僕を使うんだと察した


怖くなかったし、抵抗しようと思わなかった


だって


娘さんが、僕の左手を握っていた


その力は、とても優しく


そして、申し訳なさそうだったから



「痛い思いをさせてごめんなさい
僕が、誤解を解いておくからね!」



小声でそういえば


娘さんは、刃物を下ろした



「てめぇーー」



土方さんが、娘さんの胸ぐらを摑んだ




「土方さん!!!
娘さんにこれ以上の手出しは、いけません
それに!!彼女は、僕の友なんです!」



ピタリと土方さんが止まる



「む… 娘さん?」





今朝、捕まえ

日が落ちるまで


拷問した相手が、娘さんなんだから

そりゃ、驚いて当然ですね







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