友 ~雲外に蒼天あり~
過去
私の名前は、倖

いつからか、サチと呼ばれるようになった




私を倖と呼ぶ人は、限られている




遠い遠い昔の事のように思う

物心ついた時
私は、檻の中で生活していた


読み書きどころか、喋る事も出来なかった

食べるものに困りはしなかったが

今、思うとあの時から私の心は曇っていた


自分から、何かを得ることを放棄していた



与えられた課題をこなし

与えられた仕事をしてきた




色んな主に仕えた




疎まれすぐに捨てられた

そんな私を唯一嫁にしたいと

大事にしてくれた主の為に

人らしくなりたいと努力した



何も知らない私を
新選組の皆が、支えてくれた


馬鹿にしたり、笑うものなど

1人もいなかった





彼らがいたから…















< 50 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop