友 ~雲外に蒼天あり~
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しばらく床に伏せ

鈍った体を慣らすには十分すぎる



狭い池田屋と違い
屋外なら、存分に刀が振れる



まるで何かに取り憑かれたように

向かってくる敵を斬る




江戸にいる頃は、人を斬るなんて
想像もしなかった



僕は、初めて人を斬った日を
今でも鮮明に覚えている


この手にもう、何度も味わった感触


だけど、あの日の感覚は、消えるどころか
より鮮明になる




近藤さんを信じて

仲間を信じて

己の刀を信じて


江戸から京に来るまで

全く不安なんてなかった


やる気と自信に満ちていた




それらを全て

迷いへ変えた出来事だったから






そんな時





倖に出会ったんだ








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