もう一度、あなたに恋していいですか
「……圭介さん」

「ん?」

彼はソファに座り、私をみている。

「…愛してる」

私は写真を見つめながらそう呟く。

「俺もだよ。いきなりどうしたの?」

彼は不思議そうに私をみている。

「本当に愛してる?」

「うん。未羽のこと愛してるよ」

「奥さんよりも?」

私がそう言うと、彼はなにも言わなくなる。

「どうしたんだよ、いきなり」

止まらない。
今まで聞けなかった言葉や感情が一気に溢れだして、止まらない。

「奥さんよりも…子供よりも愛してるって思うなら、もう一度”愛してる”って言って」

写真を持つ手が震える。
言葉がこんなにも怖いなんて、はじめてだった。

「…未羽は今日疲れてるんだな。こっちにきて一緒に休もう」

「誤魔化さないで。私は真剣に聞いているの」

「…」

彼は何も答えない。
ああ、この沈黙こそが答えなのね。

そのとき、私のなかで何かが終わった気がした。
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