もう一度、あなたに恋していいですか
「…私、圭介さんのこと愛してるわ。
奥さんよりも愛している自信がある。
世界中を敵に回しても、貴方を愛せる自信がある。

でも貴方は違うわ。
世界中を敵に回しても、私と一緒にいたいと思わない
そうでしょう?」


彼はなにも言わずうつむく。
私はそんな彼に構わず続ける。


「いまこの写真を見て思ったの。
たぶん一生かかっても、私では貴方のこんな表情を引き出せない。
たぶん…ううん、絶対無理ね。

それなら、
私の存在がこの笑顔を壊してしまうなら、
私が身を引くのが一番だと思ったの。

自分勝手でごめんなさい。
今日で終わりにしましょう」

彼はうつむいたまま、しばらく黙っていた。
どのくらい時間が経ったかわからないけれど、彼は首を縦に振った。

「…わかった」

彼はそう言って、上着を手に取り玄関へ向かう。
行ってしまう。
終わってしまう。

「…圭介さん!」

背中を向けたまま、彼は立ち止まる。

「あのとき…何で私にキスしたんですか」

ずっとわからなかった。
人気者の圭介さんが、別に目立つわけでもなく特別可愛くて美人でもない私に、突然キスをしたのかが。

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