秘密の陰陽師 【壱】



「…っ」




ついに壁にまで追い詰められ、逃げ道がなくなってしまった





「ねぇ、僕の質問に答えてよ?」








ニコッと笑う彼に、もう先ほどの王子様のような優しげな表情の欠片さえなかった







嫌な汗が背中を伝う






この人が悪魔に見える。
まるで獲物を捕らえて楽しんでる悪魔…






調査してました。
なんて口が裂けても言えない










私は震える声で






「た、たまたま通りかかって…それで…」







苦し紛れの言い訳をした。









だがそんな言い訳が通じるはずもなく









「正直に言わない子にはお仕置きだね…?」








なんて、女の子が喜びそうなとびっきりの笑顔でその悪魔は言い放った



< 35 / 254 >

この作品をシェア

pagetop