秋恋祭り (あきこいまつり)
 俺は一通り会場を回ったが、今年は美夜だなと心の中で呟いた。

 美夜は他の男達からも声を掛けられているが、俺は割り込むように美夜の横に座った。


「美夜ちゃんいくつ?」

「二十歳です」


 周りに居た男達の目が益々輝いた。


「美夜ちゃん仕事は何しているの?」


「インテリア事務所で事務をやっています」


「あっ。俺今日行ったかも?」



 俺は今日先輩のお供で行った、インテリア事務所を思い出した。ああ、受付にいた子だ……



「あっ。今日お見えになりましたよね…… スーツだったから分からなかった」


「ええ! 雅巳知り合いなの?」


 仁志が乗り込んできた。


「今日、ちょっと見かけただけ」


「ふーん」


 仁志の面白くなさそうな顔に、仁志も美夜狙いだと分かった。

 他の男達も、次から次へと美夜へ話し掛けてくる。

 今回の祭りのナンバーワン人気は美夜だと分かった。

 いつもならもう少し派手な子の周り男達が集まるが、美夜の場馴れしていない初々しさに人気が集まったのだろう…… 

 俺は益々美夜の争奪戦に燃えて来た。


 これは、ただの祭りの楽しみの一つだと、その時は思っていた……

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