秋恋祭り (あきこいまつり)
秋恋祭りは好きと言えない ~美夜~
 いよいよ祭りの当日がやって来た。


 朝暗いうちから花火が打ち上がり、大三国の火薬詰めが始まる。黒い法被に身を包んだ若者達はいつもにも益して熱く勢いがある。


 私の目は雅巳を追っていた。


 法被から僅かに見える胸……
 
 手ぬぐいを巻いた頭からサラサラと落ちる髪……
 
 作業する姿が逞しく…… 

 見てはいけないと思うのに、勝手に目が追ってしまう……


 でも、雅巳の姿も今日で見られなくなる…… 

 なんでこんなに切ないのだろう……


 雅巳は時々、私と目を合わせ笑ってくれる…… 

 私だけに……
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