秋恋祭り (あきこいまつり)
 祭りの一か月程前から土日に準備が行われて、煙火部は主に花火作りだった。

 男の人達とも、それほど緊張しないで作業が出来るようになっていた。


 だが、あの男だけは別だ……

 わざと近くに寄ってきては作業されると私の中で緊張が走る。


 和紙に火薬を包んだ手が雅巳の手に触れた。胸の中心がドキっと音をたてた。

「ラッキー」


 雅巳の言葉にからかわれたと思うとムッとなり、遣り辛くてしょうがなかった。

 なんやかんやと近づいては、私の反応を面白がっている。

 絶対に後で皆と笑うのだろうと思うとやり切れない。


 雅巳に振り回されながら時間が過ぎてしまった。
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