日常に、ほんの少しの恋を添えて
「社食でもいいかなって思ったんだけど、社員がいない場所の方がいいかと思って」
……それは、どういう意味でしょうか?
とは聞けず、私は彼女に連れられて会社から百メートルほどの場所にある老舗の喫茶店にやってきた。ゆったりとした曲が流れる店内は、昼時とあってサラリーマンや女性客でほぼ半数の席は埋まっていた。
そこで私と新見さんは、隅の方にあった空席に座ることにした。
「ここね、おいしいんだ。お薦めはナポリタンと厚焼き玉子サンドよ」
新見さんがそう言うので、私は素直にそのおすすめのナポリタンを注文した。彼女も玉子サンドを注文し、さて、と改まる。
「湊専務と長谷川さん、何かあった?」
ああやっぱり。
来るか来るか、と思っていたけど案の定彼女は私と専務の間の空気がちょっと変化したことに気付いていた。
じっと私を見つめ返事を待つ新見さんに、嘘偽ったところですぐに見破られそうな気がした私は、観念して自分の気持ちを素直に伝えることにした。
「変化したのは……私の専務に対する気持ちです。その、気を付けていたつもりでしたがうっかり、好きになってしまいまして」
「……長谷川さんが、専務のことを?」
新見さんが興味津々な様子で、少し身を乗り出す。
「はい。やっぱり、秘書が上司を好きになるなんてまずいですよね。本当にすみません」
……それは、どういう意味でしょうか?
とは聞けず、私は彼女に連れられて会社から百メートルほどの場所にある老舗の喫茶店にやってきた。ゆったりとした曲が流れる店内は、昼時とあってサラリーマンや女性客でほぼ半数の席は埋まっていた。
そこで私と新見さんは、隅の方にあった空席に座ることにした。
「ここね、おいしいんだ。お薦めはナポリタンと厚焼き玉子サンドよ」
新見さんがそう言うので、私は素直にそのおすすめのナポリタンを注文した。彼女も玉子サンドを注文し、さて、と改まる。
「湊専務と長谷川さん、何かあった?」
ああやっぱり。
来るか来るか、と思っていたけど案の定彼女は私と専務の間の空気がちょっと変化したことに気付いていた。
じっと私を見つめ返事を待つ新見さんに、嘘偽ったところですぐに見破られそうな気がした私は、観念して自分の気持ちを素直に伝えることにした。
「変化したのは……私の専務に対する気持ちです。その、気を付けていたつもりでしたがうっかり、好きになってしまいまして」
「……長谷川さんが、専務のことを?」
新見さんが興味津々な様子で、少し身を乗り出す。
「はい。やっぱり、秘書が上司を好きになるなんてまずいですよね。本当にすみません」