日常に、ほんの少しの恋を添えて
専務の過去を知る男、再び
新見さんがいない日々。
しばらくはやはり寂しかったけれど、忙しい毎日に追われ、寂しさも徐々に薄れていく。
彼女がいたポジションには案の定花島さんが就くことになり、
「新見さんの分までバシバシやるわよー!」
と張り切っている彼女を見るとなんだかちょっと安心する。
私は変わらず、淡々と毎日を過ごしている。専務への気持ちは変わっていないけど、それを悟られないよう、仕事中は意識を違うところに持っていけばなんとかいつも通りの私でいられた。
新見さんにはバレたけど、今のところ他の人にはバレていないようだし……
そんなことを考えながら、コーヒーを淹れ専務のところへ行くと声をかけられた。
「長谷川すまん、昼に小動と食事することになった。もうすぐあいつ来ると思うんだけど俺ちょっと用済ませてから行くから、俺が行くまで下であいつの相手してやってくれるか」
「はい。かしこまりました」
小動さんか。
専務、仲良くなんかないとか言ってたけど、普通に食事したりする程度に仲、いいよね。
エレベーターの中でぼんやりそんなことを考えつつ。一階に到着し、外が見える位置に移動して小動さんを待つ。
するとエントランス前にスッと黒い車が入って来た。と思ったらそこから見覚えのある人物が降りてきた。
――きた。小動さんだ。
今日の彼の出で立ちは薄いグレーの三つ揃いのスーツ姿である。相変わらず、パーマのかかったやや長めの髪が若干のチャラさを醸し出しているが……
しばらくはやはり寂しかったけれど、忙しい毎日に追われ、寂しさも徐々に薄れていく。
彼女がいたポジションには案の定花島さんが就くことになり、
「新見さんの分までバシバシやるわよー!」
と張り切っている彼女を見るとなんだかちょっと安心する。
私は変わらず、淡々と毎日を過ごしている。専務への気持ちは変わっていないけど、それを悟られないよう、仕事中は意識を違うところに持っていけばなんとかいつも通りの私でいられた。
新見さんにはバレたけど、今のところ他の人にはバレていないようだし……
そんなことを考えながら、コーヒーを淹れ専務のところへ行くと声をかけられた。
「長谷川すまん、昼に小動と食事することになった。もうすぐあいつ来ると思うんだけど俺ちょっと用済ませてから行くから、俺が行くまで下であいつの相手してやってくれるか」
「はい。かしこまりました」
小動さんか。
専務、仲良くなんかないとか言ってたけど、普通に食事したりする程度に仲、いいよね。
エレベーターの中でぼんやりそんなことを考えつつ。一階に到着し、外が見える位置に移動して小動さんを待つ。
するとエントランス前にスッと黒い車が入って来た。と思ったらそこから見覚えのある人物が降りてきた。
――きた。小動さんだ。
今日の彼の出で立ちは薄いグレーの三つ揃いのスーツ姿である。相変わらず、パーマのかかったやや長めの髪が若干のチャラさを醸し出しているが……