日常に、ほんの少しの恋を添えて
弱った専務と急接近
御曹司だって風邪をひく
***
ある日、出勤すると困り顔の花島さんに捕まった。
「長谷川さん、ちょっとこっちに来て」
ぐいと腕を引かれ誰もいないミーティングルームに拉致られた。
いきなりどうしたんだろう?
「どうしたんです、何があったんです」
さっきと変わらず神妙な面持ちの花島さんに問いかけると、彼女が私の肩をガッ! と勢いよく掴んだ。
「長谷川さん、今からあなたに特殊任務を与えます」
「と、特殊? なんでしょうか」
「今からここに書いてあるものを買い、それを持って専務のご自宅に行ってくれる?」
そう言って花島さんは私の目の前に一枚のメモを差し出した。
「……え?」
「今日専務風邪ひいて休んでるのよ。私電話受けてね。長谷川に持ってくるように頼んでくれって。長谷川さん、専務の自宅知ってるわよね?」
「えっ……」
あれっ? 私花島さんに専務のご自宅に行ったって話したっけ?
記憶の糸を辿るけど、話した覚えは全くない。
混乱して言葉を発しない私を見て、花島さんが「あ、ごめんごめん」と謝って来た。
「私、新見さんにちょこっと話聞いてるから。他の社員には言ってないから安心して」
「ええっ! 話ってどこまで……」
「うーんとね、何となく二人いい感じっていうこと」
「……」
ある日、出勤すると困り顔の花島さんに捕まった。
「長谷川さん、ちょっとこっちに来て」
ぐいと腕を引かれ誰もいないミーティングルームに拉致られた。
いきなりどうしたんだろう?
「どうしたんです、何があったんです」
さっきと変わらず神妙な面持ちの花島さんに問いかけると、彼女が私の肩をガッ! と勢いよく掴んだ。
「長谷川さん、今からあなたに特殊任務を与えます」
「と、特殊? なんでしょうか」
「今からここに書いてあるものを買い、それを持って専務のご自宅に行ってくれる?」
そう言って花島さんは私の目の前に一枚のメモを差し出した。
「……え?」
「今日専務風邪ひいて休んでるのよ。私電話受けてね。長谷川に持ってくるように頼んでくれって。長谷川さん、専務の自宅知ってるわよね?」
「えっ……」
あれっ? 私花島さんに専務のご自宅に行ったって話したっけ?
記憶の糸を辿るけど、話した覚えは全くない。
混乱して言葉を発しない私を見て、花島さんが「あ、ごめんごめん」と謝って来た。
「私、新見さんにちょこっと話聞いてるから。他の社員には言ってないから安心して」
「ええっ! 話ってどこまで……」
「うーんとね、何となく二人いい感じっていうこと」
「……」