日常に、ほんの少しの恋を添えて
だけど美鈴さんはなんでわざわざ元カレのところなんかに来たんだろう。
謎だ……
数分後。専務の部屋にやって来た美鈴さんは、しっかりメイクに巻き髪姿で、やけにキラキラしているように見えた。
「……あなた。この間の……」
玄関で出迎えた私の姿を見るなり、彼女の表情が強張った。
「私、専務の秘書をしております長谷川です。今日はこちらで風邪を引かれた専務のお世話をしておりまして……」
「あ、なるほどね」
私が状況を説明すると、美鈴さんは納得したように小さく頷いた。
お邪魔します、と私に微笑みかけ、彼女は勝手知ったる感じでスタスタとリビングまで移動する。
「湊、風邪だって? 大丈夫なの?」
心配そうにする美鈴さんに対し、専務は少し困ったような顔で美鈴さんを見ると、ハアーと溜息をついた。
「このとおり。ちょっと喉にきてるけど……大丈夫だよ。それより何しに来たんだ」
少しだけ冷たく感じられる専務の態度に、美鈴さんはムッとする。
「ちょっと。心配してあげたのに冷たくない? 久しぶりにお昼でも一緒にどうかなって思って、会社電話したのよ。そしたら休んでるっていうから……あ、秘書さん。これお土産。冷やしておいてくれる?」
美鈴さんがフルーツが入ったビニール袋と長方形の箱が入った袋を私に差し出してきた。フルーツはいいとして、長方形の箱は十中八九どう見てもケーキが入っている箱だ。
「ありがとうございます」
――専務がケーキ嫌いなの、知らないのかな。付き合ってたのに知らないなんてそんなことある?
謎だ……
数分後。専務の部屋にやって来た美鈴さんは、しっかりメイクに巻き髪姿で、やけにキラキラしているように見えた。
「……あなた。この間の……」
玄関で出迎えた私の姿を見るなり、彼女の表情が強張った。
「私、専務の秘書をしております長谷川です。今日はこちらで風邪を引かれた専務のお世話をしておりまして……」
「あ、なるほどね」
私が状況を説明すると、美鈴さんは納得したように小さく頷いた。
お邪魔します、と私に微笑みかけ、彼女は勝手知ったる感じでスタスタとリビングまで移動する。
「湊、風邪だって? 大丈夫なの?」
心配そうにする美鈴さんに対し、専務は少し困ったような顔で美鈴さんを見ると、ハアーと溜息をついた。
「このとおり。ちょっと喉にきてるけど……大丈夫だよ。それより何しに来たんだ」
少しだけ冷たく感じられる専務の態度に、美鈴さんはムッとする。
「ちょっと。心配してあげたのに冷たくない? 久しぶりにお昼でも一緒にどうかなって思って、会社電話したのよ。そしたら休んでるっていうから……あ、秘書さん。これお土産。冷やしておいてくれる?」
美鈴さんがフルーツが入ったビニール袋と長方形の箱が入った袋を私に差し出してきた。フルーツはいいとして、長方形の箱は十中八九どう見てもケーキが入っている箱だ。
「ありがとうございます」
――専務がケーキ嫌いなの、知らないのかな。付き合ってたのに知らないなんてそんなことある?