日常に、ほんの少しの恋を添えて
新見さんに尋ねると、パウンドケーキを口に含み咀嚼していた彼女は、少し困ったような顔で頭を左右に振る。
「専務は甘いものが苦手なのよ。嫌いなんですって」
「あ、そうなんですね」
そうなんだ。
まあでも、男の人は甘いもの嫌いだっていう人多いし。よくあることだ。
「あっ、でもでも! 秘書課の社員はみんなお菓子好きよ! 他の役員の方でも甘いもの好きな方何人かいらっしゃるし! 湊専務のぶんはよかったら私がいただくわ!」
「あ……ありがとうございます。嬉しいです」
私に気を遣ってか、やけに明るい口調でこう言ってくれる新見さんにはありがたい気持ちでいっぱいだ。
こうして私が焼いたケーキは、秘書課の皆さんのお茶菓子として好まれ、余ることなくすべて終了した。
そしてその日、終業時間になっても専務は帰社せず、緊張の一日は専務不在のまま終了したのだった。
「専務は甘いものが苦手なのよ。嫌いなんですって」
「あ、そうなんですね」
そうなんだ。
まあでも、男の人は甘いもの嫌いだっていう人多いし。よくあることだ。
「あっ、でもでも! 秘書課の社員はみんなお菓子好きよ! 他の役員の方でも甘いもの好きな方何人かいらっしゃるし! 湊専務のぶんはよかったら私がいただくわ!」
「あ……ありがとうございます。嬉しいです」
私に気を遣ってか、やけに明るい口調でこう言ってくれる新見さんにはありがたい気持ちでいっぱいだ。
こうして私が焼いたケーキは、秘書課の皆さんのお茶菓子として好まれ、余ることなくすべて終了した。
そしてその日、終業時間になっても専務は帰社せず、緊張の一日は専務不在のまま終了したのだった。