日常に、ほんの少しの恋を添えて
彼女がすでにこの話を知っていることにちょっとだけ驚いた。けど、私は至って冷静です、という態度を取って見せる。
「はい。まだいつとか、詳しい話は聞いていないのですが……」
「私もさっき専務に聞いてびっくりしたとこなんだけど、それ、結構早くなるらしいのよ。
ここだけの話、予定ではどうやら年が明けたら、っていう……」
ハンバーグ弁当を机に広げ、箸をパチン、と割りながら花島さんが教えてくれた。
その瞬間、私の頭は真っ白になった。
――え。年が明けたらって……もうあと一カ月くらいしかないじゃない。
「そ、そんな急に!? 役員人事ってそんな急に決まるものなんですか?」
「まだ決定ではないわ。でも多分、近々臨時取締役会で承認されると思う。だって専務のお父様である社長の意向だもの。ほぼ決定事項でしょ」
「……そ、そうです……か……」
口では納得したようなこと言ってるけど、心は全然追い付いていない。
専務が、いなくなる。
この前聞いたときはここまで動揺しなかったのに、なんでだろう。急に胸の奥がぎゅっと掴まれたみたいに苦しくて、目の前のハンバーグ弁当に手が付けられない。
そんな私を心配そうに見つめる花島さんが、ふうーと溜息をつく。
「はい。まだいつとか、詳しい話は聞いていないのですが……」
「私もさっき専務に聞いてびっくりしたとこなんだけど、それ、結構早くなるらしいのよ。
ここだけの話、予定ではどうやら年が明けたら、っていう……」
ハンバーグ弁当を机に広げ、箸をパチン、と割りながら花島さんが教えてくれた。
その瞬間、私の頭は真っ白になった。
――え。年が明けたらって……もうあと一カ月くらいしかないじゃない。
「そ、そんな急に!? 役員人事ってそんな急に決まるものなんですか?」
「まだ決定ではないわ。でも多分、近々臨時取締役会で承認されると思う。だって専務のお父様である社長の意向だもの。ほぼ決定事項でしょ」
「……そ、そうです……か……」
口では納得したようなこと言ってるけど、心は全然追い付いていない。
専務が、いなくなる。
この前聞いたときはここまで動揺しなかったのに、なんでだろう。急に胸の奥がぎゅっと掴まれたみたいに苦しくて、目の前のハンバーグ弁当に手が付けられない。
そんな私を心配そうに見つめる花島さんが、ふうーと溜息をつく。