日常に、ほんの少しの恋を添えて
「困るなんて、そんなことないです! でも、私は専務の人生の応援がしたいのであって、邪魔したいんじゃないんです。これから新しい場所で仕事をしていく専務にとって、一番いいことは何か。そう考えると……私の存在は足かせにしかならないような気がしてなりません。せめて海外でお仕事をされている間は、私の存在など忘れてくださった方が、いいと……」
「それは、お前の考えだろ? 俺はそうは思わないよ。今はネットさえあればどこに居ても繋がれる時代だ。困ったり、思い悩んだときにいつでも寄り添えるような存在が、自分に一人いてくれるだけでどれだけ心強いか、わかるだろ? 俺はお前にそういう存在でいてほしいんだ」
専務の言うことは至極もっともで。私は何も言えずただ頷くことしかできない。
「わかります……わかるんですけど、でもこの状況、専務が美鈴さんとお付き合いされていたときと似てるじゃないですか……私も、この会社に入ってすぐ新しい環境に慣れることで手いっぱいで、彼氏に振られたんです。だから……」
「確かにそうかもしれないけど。でも美鈴とお前は違うだろ。俺は、たとえ遠距離恋愛になってもお前とならうまくやれるんじゃないかって思ってる。それでも、ダメか」
専務は私を見てきっぱりとそう言い切った。
こんなふうに言ってもらえて嬉しいのに、私は素直に首を縦に振ることができない。
黙り込む私を見守っていた専務が、クールダウンするように息を吐き、額を押さえる。
「……なんて。もっともらしいこと言ってるけど。お前の言うことも分かるよ。これでお前と付き合い出すってことは、俺はお前を俺に縛り付けておきながら一人きりにさせる、ってことだ。ネットや電話で会話はできても頻繁には会えない。しかもいつ帰れるのかすらわからない状況で、軽々しく付き合うとか、一緒に生きていきたいとか言うべきではない、よな……」
「それは、お前の考えだろ? 俺はそうは思わないよ。今はネットさえあればどこに居ても繋がれる時代だ。困ったり、思い悩んだときにいつでも寄り添えるような存在が、自分に一人いてくれるだけでどれだけ心強いか、わかるだろ? 俺はお前にそういう存在でいてほしいんだ」
専務の言うことは至極もっともで。私は何も言えずただ頷くことしかできない。
「わかります……わかるんですけど、でもこの状況、専務が美鈴さんとお付き合いされていたときと似てるじゃないですか……私も、この会社に入ってすぐ新しい環境に慣れることで手いっぱいで、彼氏に振られたんです。だから……」
「確かにそうかもしれないけど。でも美鈴とお前は違うだろ。俺は、たとえ遠距離恋愛になってもお前とならうまくやれるんじゃないかって思ってる。それでも、ダメか」
専務は私を見てきっぱりとそう言い切った。
こんなふうに言ってもらえて嬉しいのに、私は素直に首を縦に振ることができない。
黙り込む私を見守っていた専務が、クールダウンするように息を吐き、額を押さえる。
「……なんて。もっともらしいこと言ってるけど。お前の言うことも分かるよ。これでお前と付き合い出すってことは、俺はお前を俺に縛り付けておきながら一人きりにさせる、ってことだ。ネットや電話で会話はできても頻繁には会えない。しかもいつ帰れるのかすらわからない状況で、軽々しく付き合うとか、一緒に生きていきたいとか言うべきではない、よな……」