日常に、ほんの少しの恋を添えて
専務と友人御曹司
お薦めのコーヒーは高原で
「新見さんごめんなさい。私、専務と相性最悪みたいです」
秘書室で新見さんに遭遇するなり頭を下げる私。それをぽかんと口を開けて見ていた新見さんは、手元がおろそかになり持っていた花瓶を落としそうになった。
「うわ、びっくりした。ええ~どうしたの? あ、もしかして昨日の会食で何かあった?」
「会食は……まあ、岩谷常務の酒癖についてはよくわかりました。そしてついでに知ってしまった専務の考え方がどうしても私には理解しがたくてですね……ショックでした」
「考え方? なんの?」
新見さんが不思議そうに首を傾ける。
……しまった、これってよく考えたら業務と全く関係ない。
そう思ったら俄然言いにくくなってしまった私は、新見さんから視線を逸らし、小声でつぶやいた。
「……す、スイーツについてです」
「すいーつうううう??」
さっぱりわからない、という顔をしている新見さんに、昨夜の出来事を簡単に説明した。話の途中あたりから「なーる……」と事の成り行きを理解した新見さんは、話し終えた私を見て困ったように微笑んだ。
「状況は飲み込めたけど。それで専務との相性を決めるのは時期尚早じゃないかしら。私は専務って部下のこともちゃんと考えてくれるいい上司だと思うけど」
そう言われ頭に思い浮かぶのは、岩谷常務に絡まれた時に
「ごめん」
と言ってくれた専務の顔。
秘書室で新見さんに遭遇するなり頭を下げる私。それをぽかんと口を開けて見ていた新見さんは、手元がおろそかになり持っていた花瓶を落としそうになった。
「うわ、びっくりした。ええ~どうしたの? あ、もしかして昨日の会食で何かあった?」
「会食は……まあ、岩谷常務の酒癖についてはよくわかりました。そしてついでに知ってしまった専務の考え方がどうしても私には理解しがたくてですね……ショックでした」
「考え方? なんの?」
新見さんが不思議そうに首を傾ける。
……しまった、これってよく考えたら業務と全く関係ない。
そう思ったら俄然言いにくくなってしまった私は、新見さんから視線を逸らし、小声でつぶやいた。
「……す、スイーツについてです」
「すいーつうううう??」
さっぱりわからない、という顔をしている新見さんに、昨夜の出来事を簡単に説明した。話の途中あたりから「なーる……」と事の成り行きを理解した新見さんは、話し終えた私を見て困ったように微笑んだ。
「状況は飲み込めたけど。それで専務との相性を決めるのは時期尚早じゃないかしら。私は専務って部下のこともちゃんと考えてくれるいい上司だと思うけど」
そう言われ頭に思い浮かぶのは、岩谷常務に絡まれた時に
「ごめん」
と言ってくれた専務の顔。