日常に、ほんの少しの恋を添えて
専務は多くを語らず、そのままくるりと踵を返すとスタスタ車に向かって歩き始めた。
待って! と私は慌てて去りゆく背中に声をかける。
「専務! あの、いいんでしょうか、さっきお弁当もいただいたのに……」
「いいよ。俺だって今日長谷川にいろいろもらってるからな。お礼だよ。気にすんな」
「あ、ありがとございます……」
「ん」
納得したように微笑んだ専務は、軽く手を上げてから車を発進させ去っていった。
「……はーー……」
思いがけず大変な休日になってしまった。
いや、それよりこの袋の中身は何だろう。
気になった私は、一目散に自分の部屋に戻ると専務に手渡された袋の中身を確認する。
中から出てきたのは、専務が買い物中に私が何気なく見ていたシルクのストールだった。
それを見た私は、一瞬呼吸することを忘れた。
「……!!」
私が見てたの、気が付いてたのか。
しばらくの間そのストールを眺めていた私は、それをそっと胸に抱いた。
なんで、なんでこんなことしてくれるの。
私単純だから勘違いしてしまうかもしれないのに。あの人は分かってやっているんだろうか。
こんなことされるとまるで、専務が私に好意を持ってくれているんじゃないかって自分に都合のいいように解釈してしまいそうな自分がいる。
待って! と私は慌てて去りゆく背中に声をかける。
「専務! あの、いいんでしょうか、さっきお弁当もいただいたのに……」
「いいよ。俺だって今日長谷川にいろいろもらってるからな。お礼だよ。気にすんな」
「あ、ありがとございます……」
「ん」
納得したように微笑んだ専務は、軽く手を上げてから車を発進させ去っていった。
「……はーー……」
思いがけず大変な休日になってしまった。
いや、それよりこの袋の中身は何だろう。
気になった私は、一目散に自分の部屋に戻ると専務に手渡された袋の中身を確認する。
中から出てきたのは、専務が買い物中に私が何気なく見ていたシルクのストールだった。
それを見た私は、一瞬呼吸することを忘れた。
「……!!」
私が見てたの、気が付いてたのか。
しばらくの間そのストールを眺めていた私は、それをそっと胸に抱いた。
なんで、なんでこんなことしてくれるの。
私単純だから勘違いしてしまうかもしれないのに。あの人は分かってやっているんだろうか。
こんなことされるとまるで、専務が私に好意を持ってくれているんじゃないかって自分に都合のいいように解釈してしまいそうな自分がいる。