恋愛預金満期日　
「ていうか、先輩の問題は雨宮さんの事ですよね？　今までのようには行かないですからね……」

「僕、毎週帰ってこようかな？」

「無理です。それに雨宮さんが気を使うだけです。辞めて下さい」

「そうかぁ……」

「先輩は、このまま離れて雨宮さんの事、諦めらられるんですか？」

「諦めるなんて……」

「どっちにしても、このままって訳には行かないですよ。一層、思い切ってプロポーズしたらどうですか？」


「プ、プロポーズ！」
　僕は声が裏返ってしまった。


「黙ってこのまま離れて、うじうじ思い続けるか？　それとも、一パーセントの確率に掛けて振られて、きっぱり諦めるか？　どうします？」


「一パーセントも可能性があるのか？」
　僕は聞いた。


「あるっていやあるけど、無いようなもんですからね？」
　神谷の答えは厳しい物だった。


「先輩は正直なところどうなんですか？　雨宮さんと結婚したいとか、自分の手で幸せにしたいとか思わないんですか？」


「僕は……　彼女の側に居るだけで精一杯で……　そんな事考える余裕が無かったというか、考える事から逃げていたのかもしれない……　僕見たいな男が望んだら、今の関係が壊れしまいそうで怖いよ……」


「真剣に考えてみたらどうですか？　雨宮さんとの結婚。先輩だって男なんだから、好きな人を抱きたいとか思うでしょ？」


「えっ」

　僕はそんな場違いな事考えた事も無いと言おうと思ったが、内心望んでいない訳では無い。



「気持ちちゃんと伝えれば、吹っ切れますよ。東京に行けば、又新しい出会いもありますから！」


「お前、俺が振られる事、確信しているよな？　見方なのか？　敵なのか？」


「今更何を言っているんですか？　見方だから厳しい事も言うんですよ！」


「そうか……」

　僕は呟きながら、こんなに急に結婚と言う物を考えなければならい事態に戸惑っていた。　


　神谷の言う通り、彼女が僕と結婚する可能性は低い……　

　だが……　

　僕は彼女の事が好きだ……　

　それだけははっきりと言える……



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