恋愛預金満期日 
 僕は彼女を助手席に乗せ、空港へと向かった。


「そういえば、神谷が結婚するらしいですよ」

「え―。美也さん良かったですね」
 彼女が嬉しそうに頬に手を当てた。


「えっ。神谷達の事、知っていたんですか?」

「そんなの、四人で飲んだ時に気が付きましたよ。まさかとは思いますけど、海原さん知らなかったんじゃないですよね?」
 彼女が恐る恐る聞いてきた。


「その、まさかですよ。言ってくれなきゃ分からないよ」


「うっそ―。恋人同士ならではの行動だったじゃないですか?」


「僕は、あなたしか見ていませんでしたから」
 僕は照れくさくなり口を尖らした。


「あっ。すみません…… でもねぇ」
 と彼女は横目で僕を見て笑い出した。


 僕も笑った。


 僕は思う、彼女と出会って、どれだけ笑っただろう…… 

 こんな笑う事なんて無かった。

 こんなに面白いと思う事も無かった。

 僕にとって彼女は偉大だ!
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