好きになった彼は幽霊でした。
大丈夫だから
午前6時30分。
私は人の声によって起こされた。
「雪姫ちゃん!雪姫ちゃんってば!」
「ん……え、あ…夏菜ちゃん…。」
夏菜ちゃんは寮で同室の女の子。
明るくて可愛くて、誰にでも分け隔てなく優しいから、男女問わず好かれる女の子。
「早く起きないと朝食間に合わないよ〜?いつもは雪姫ちゃんの方が早いのに今日は反対だね〜!」
「え…うそっ!もうそんな時間っ!?」
飛び起きて急いで制服に着替え始める。
「そういえば昨日、夜居なかったけど、どこ行ってたの?」
「あ…本の返却日って忘れてて図書室に行ったの。それから少し読書してたから…。」
まさか、幽霊と一緒だったからなんて言えない…!
「そうなの!?でも、返却なら朝でも間に合うのに、雪姫ちゃんってば真面目だよね〜!」
そう、少しだけ早く起きて、学校に行く前に返却しても全然間に合う。
だけど、その日のうちに返したかったんだよね、なんとなく。